マンガで分かる Java入門講座

第1部 後書き

「マンガで分かる Java入門講座」の、作成経緯や、作成のあれこれ、感想などをまとめています。

● 切っ掛け

 2010年に「マンガで分かる JavaScriptプログラミング講座」を作成して公開し、その内容をまとめた本が、同年に秀和システムから出版されました。

 その流れで2011年に同シリーズのJavaの本を執筆することになりました(出版は2012年3月)。

 しかし、JavaScriptとJavaでは、解説しなければならない「最低限のライン」がだいぶ違います。そのため、打ち合わせの時に「普通に見積もって、2倍から3倍はページ数が掛かるだろう」という話をしました。

 とはいえ、書籍には印刷代などのコストが掛かります。また、分冊にすると売れ行きが鈍るといった、販売上の都合もあります。そのため、何とか1冊で収めるという条件が課せられました。


「Javaを、マンガを交えながら1冊で解説する」

 という、半ばパズルのような課題に取り組み、その目標は達成できました。しかし、本当の初心者からは「端折り過ぎの感がある」という意見も頂きました。

 まあ、確かに端折ったり、圧縮したりしているのは事実です。自分が素直に見積もった時は、2倍から3倍は掛かるだろう、と思っていたのですから。

 しかし「本として世に出す」ということは、前述のような様々な条件があります

 それに私自身の作業時間として、「マンガ+解説の本」は1冊に丸3か月ぐらい拘束されてしまうのが実情です。そのため、単純に内容を2倍や3倍にもできないという時間的な制約もあります。

 とはいえ、本来は2~3倍だと思った内容を1冊に収めたことで、「もっと丁寧に解説して欲しい」という意見が出てきたことに対して、「見過ごして先に行きたくないなあ」と思いました。


 「本」では無理なことでも、「Web」ならば紙面の制約なしにできます。

 後は、自分の作業時間をいかに圧縮して、想定したボリュームの原稿とマンガを用意するかです。

 困難は予想されますが、できないことはないだろうと思い、まずは見積もりから始めました。


● 見積もり と 製作方針の決定

 見積もりの最初は、目次を作ることから始まります。

 その結果、本と同等の内容を丁寧に解説したとすれば、155話は掛かるだろうということが判明しました。

 その155話に、8ページずつのマンガを付けるとなると、1240ページのマンガを描かなければなりません。

 これは、さすがに非現実的です。同じボリュームの解説文を入れるとなると、2480ページの本に相当するボリュームになります。300ページ1冊として、約8冊分のボリュームです。

 これを真面目に書くと、私が死にます。


 そこで、解説する内容を削って「必要最低限の所までにする」という方針にしました。

 Javaですので、オブジェクト指向について書き、クラスやオブジェクトの解説を丁寧にするというところまでです。

 ここまでだと、92話+コラム8話という見積もりになりました。

 92話に8ページずつのマンガを付けると736ページです。1240ページよりは、何とかいけそうな気がします。

 というわけで、「ここまで解説する」ことを目指し、余力があれば1年か2年か経った後に、残りを書こうと方針を決めました。


● 作業時間の圧縮

 とはいえ、700ページ以上のマンガです。まともに取り組んだら破綻します。

 文章原稿自体は、これまでの私の執筆速度から考えて、2~3週間もあれば執筆可能だろうと推測できました。

 しかし、問題はマンガです。普通に書くと、適当に書いても1ページ1時間は掛かります。その場合は736時間です。1日10時間描いたとしても73日掛かります。

 見積もりが破綻しています。


 そこで仮に、10分で描けるとした場合、1/6の12日強で描ける計算になります。

 しかしこれは、順調に行ったとしての数値です。10分で描ける方法があったとしても、実際に10分で描けることはほぼないでしょう。途中でやり直しが発生したり、修正が生じて、作業が差し戻しになるからです。

 それに、10時間もぶっ通しで毎日描くことは不可能です。人間業ではありません。

 だから現実的な時間で執筆するには、「1ページ5分」程度の速度でマンガを作成できなければならないという仮説を立てました。

 しかし、自分の手を動かして、1ページ5分でマンガを執筆するのは無理です。


 ……それならば、高速でマンガを作成するソフトがあればいい。

 それも、自分のオリジナルキャラが使えて、図表などを簡単にコマ内に挿入可能なソフトが……。

 しかし、そんなソフトは、執筆開始時点では、私の知っている範囲では存在していませんでした。

「コミスタ」では、私が求めているほど高速にマンガを作成できません。また、図表作成能力は皆無です。

 また「コミPo!」では、オリジナルキャラが使えません。こちらも図表作成能力は皆無です。

 そこで2012年の5月に、マンガ作成ソフトの開発を始めました。技術としては、HTML5+WebGLを採用しました。


● 実際の作業

 マンガ作成ソフトは、仕事の合間にコツコツと作成を続け、1年の歳月を経て、2013年の5月に「箱人形マンガ(Box Comic)」として完成しました。

 その後も、高速作成のための改良を延々と続けながら、「マンガで分かるJava入門講座」のマンガを作成し続けました。


 文章部分の原稿と、マンガの台詞原稿は、2013年の1月から2月に掛けてまとめて執筆しておいたので、マンガだけをひたすら作成する作業の連続です。

 また、大量のページを公開するために、「マンガPG」というサイトと、サイト構築プログラムを2012年の12月に開発しました。

 これは、テキストと画像をアップロードするただけで、高速でページの追加・更新ができるCGIです。

 最初、WordPressでも使おうかと思っていたのですが、ページ数が膨大で、作業のロス時間が多過ぎるので、自前でプログラムを作りました。


 マンガを作成し始めた最初の頃は、ソフトの改良時間の方が長くて、遅々として進みませんでした。

 しかし、後半を過ぎた辺りから、ソフトの改良時間は激減して、マンガの作成時間が1ページ5分を切るようになりました。

 とはいえ、連続して作成すると私の体が壊れます。それにマンガ作成後、全体を読んで修正する必要もあります。サイトへのアップロード作業や、確認作業もあります。トータルでは、それほど時間を稼げません。

 でもまあ何とか、現実的な時間でマンガを作成して、公開まで持っていくことができました。プログラミング万歳という感じです。

 というわけで、計画開始から実現まで1年強掛かりましたが、目標は達成できました。


● 最終的な数値

 最終的には、以下のような数値になりました。

第1版

 2013年6月9日完結。

マンガありの話数 93話
マンガなしのコラム 8話
合計Webページ数 101ページ
マンガの総ページ数 830ページ

第2版

 2015年8月11日完結。

マンガありの話数 95話
マンガなしのコラム 9話
合計Webページ数 104ページ
マンガの総ページ数 832ページ

● 雑感

 しかしまあ、こんなアホなことをするのは、世の中で、私以外にはあまりいないでしょう。

 コンテンツを作るにしても費用対効果が悪過ぎます。これ自体で儲けが発生するわけでもありません。普通の会社では、なかなか作れないはずです。

 でもまあ、そういった「自分が作りたいもの」「世の中に対して意味があるけど儲からないもの」を作るために、自分で会社を立ち上げて10年以上活動を続けているので、これでよいのだと思います。

 それに、「そういったことをする人間がいてもよいのだ」と思う人が、いろいろと仕事を持ってきてくれたりして、10年以上、この会社を存続させてくれたのですから(執筆時点で会社は12期目)。

 というわけで、クロノス・クラウンでは、今後も、楽しさと実用を兼ね備えたコンテンツや技術を提供していきたいと思います。


 ふうっ、やっと終わった。

 ……「1つの仕事をやり遂げたご褒美は、次の仕事を始められること」

 次のチャレンジに、行きたいと思います。

2013年6月吉日

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この講座のマンガ部分は「箱人形マンガ(Box Comic) 」で作成しています。
作成:2013/06/09  更新:2013/06/09  [Permalink]
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